高田馬場ジョージがちょっと好きになる話
「劇場版KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」
前作キンプリから新規参入したファンのみならず、プリティ―リズムファン全ての期待に大いに応えた大変素晴らしい映像作品でした
今では長く続いた上映期間もとうに終わりを告げましたが、その勢いは未だに留まるところを知らず、来年1月26日のブルーレイ&DVD発売に向けて現在も更なる盛り上がりを見せております
そんな折にやってきました、十王院カケル生誕祭上映会!
明日12月22日より、全国の劇場にて期間限定で再びキンプラの応援上映を楽しむことができます!
さて、そんなキンプラのささやかな復活を祝して、今回の記事では私の妄想を垂れ流したいと思います
え?カケルじゃないのかって?ごめんなさい、ジョージです
だって好きなんですもの、ジョージ
高田馬場ジョージの過去は本編では全く言及されないけれど、実はこんな人生を送ってきたのではないか、プリズムキングカップに至るまでにこんな心情を抱いていたのではないか、今回の記事では、そんな私の妄想をただひたすら書き綴ります
注意事項
- 以下の内容は私個人の完全な妄想です。公式の見解でもなんでもありません
- キンプラの知識があることが前提のお話です。従ってキンプリ、およびキンプラのネタバレを多大に含みます。一度作品を鑑賞してからお読み頂けると幸いです
注意事項はご確認頂けましたでしょうか
それでは、これから少しだけ皆様のお時間を拝借致します
高田馬場ジョージの生まれ育った環境は、決して恵まれているとは言えなかった。彼の父親はジョージが物心つく頃には既に他界しており、母親も、ジョージに愛情を持って接することは無かった。
少年時代のジョージはいつも一人だった。一番身近にいる人間からも満足に愛情を注がれていなかったジョージは、他人との距離の詰め方が分からなかった。いつの間にか、笑顔の作り方を忘れていた。ジョージの心の中は、自覚のない寂しさで溢れていた。
そんなジョージの心の扉を叩いたのは、自宅のテレビにたまたま映ったプリズムショーだった。ダイナミックな身体の躍動、心を震わせる美しい歌声、まばゆい輝きを纏ったきらびやかな衣装、そしてジャンプから溢れ出るプリズムの煌めき。その全てにジョージは夢中になった。目の前に広がる風景が、世界が、生まれて初めて色づいて見えた。
「いつか僕も、あの場所に立ちたい」
その日からジョージは、見様見真似でプリズムショーの練習を始めた。初めは身体のバランスを整えることもできなかった。言葉を発することも少なかったので、歌も上手く歌えなかった。練習するとき、彼の衣装はいつも道化のような格好の寝間着だった。夜遅くに、母親の目を盗んで練習していたからだ。ダンスも駄目、歌も駄目、衣装も駄目、そんな最底辺からのスタート。ジョージは来る日も来る日も練習を重ねた。ただひたすらに、プリズムショーにのめり込んだ。努力した日々に反してダンスも歌も上達は遅かった。しかし、そんなジョージの心の飛躍をプリズムの女神も見ていたのだろうか、彼がプリズムジャンプを飛べるようになるのには時間はあまりかからなかった。
「君、すごいね」
ジョージのプリズムジャンプを見ていた子供が、小さな手で拍手をしながら彼にそんなことを言った。ジョージの心の中に暖かいものがじんわりと広がった。それは彼が初めて味わった感覚だった。それまで彼の存在を肯定してくれる人間は誰一人いなかった。ジョージの表情に、幾年か振りに笑顔が灯った。
それからジョージは以前にも増してプリズムショーの練習に情熱を注いだ。ダンスと歌は相変わらずだったが、一方でプリズムジャンプの精度はどんどん高まっていった。ジャンプはいつしか2連続を軽く決めることができるようになった。プリズムジャンプの成長を披露するたびに、周りの人間からのジョージへの称賛の声も増えていった。その反応に気を良くしたのだろうか、母親がジョージを見つめる眼差しにもいつの間にか愛情が篭るようになった。
プリズムショーによって、ジョージの人生は大きく転換した。それまで誰からも認められず、愛情を注がれることのなかったジョージの心は初めて味わう充実感でどんどん満たされていった。しかしその一方でジョージは、それを失うことに恐怖を覚え始めた。
自分は常に上を目指さなければならない。
そうしなければ、自分を認めてくれる存在がまたいなくなってしまうかもしれない。
そんな考えがジョージの頭を支配するようになった。
それからジョージはプリズムスタァ養成所として名門と称されるシュワルツローズに入学し、並み居る学生を押しのけプリミアへと駆け上がり「YMT29」に所属、さらにはそこから「The シャッフル」のリーダーとして選抜され、世間的にトップスターと称される存在にまで登りつめた。しかし、それでもジョージの不安は消えなかった。
もっと上へ、もっと上へ。
そして、そんなジョージにとうとう大きなチャンスが訪れる。
「プリズムキングカップ」
その栄冠を手にした者はプリズムキングとして一生の名誉が約束される。ジョージは如月ルヰ、大和アレクサンダーという強豪に並び立ってシュワルツローズの代表として選抜された。その名誉を勝ち取る機会を与えられたのだ。ジョージは、この機会を逃すわけには行かなかった。血の滲むような練習も、シュワルツローズ総帥法月仁から受ける屈辱も、その先に待っている栄光を想像すれば容易に耐え抜くことができた。
そして迎えたプリズムキングカップ当日。ジョージはトップバッターでの出場となる。
この大会で披露される歌声は自分のものではない。観客の多くも、シュワルツローズの息のかかった所謂サクラで構成されている。この状態で仮にジョージがプリズムキングになったとしても、それはジョージの実力で勝ち取ったものではなく、ただ法月仁の策謀が成功しただけに過ぎない。そんなことはジョージ自身も十分に自覚している。
しかし、ジョージにとってそんなことはどうでも良かった。むしろ、この状況はかえって好都合と言える。ジョージにとっては「高田馬場ジョージにプリズムキングの称号が与えられる」という事実の方が重要なのだ。プリズムキングになれば、一生の名誉が約束される。そうなればもう二度と、昔のような暗闇の中に逆戻りすることはない。
舞台は整っている。あとは、自分の持てるプリズムの煌めきを精一杯振りまくだけ。
更なる心の飛躍により3連続に成長したプリズムジャンプを引っ提げ、高田馬場ジョージはいま、プリズムキングカップの舞台へと臨む。
永遠に続く栄光を目指して。
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